海底に沈めて熟成させる『海底ワイン』。
ヨーロッパではかなり人気のようで、アドリア海を中心に、海底貯蔵庫があちこちに造られているそうです。
ワインを劣化させる紫外線が差し込まない
水温が12℃〜16 ℃と安定している
という条件の良さに加え、波の音、海の生き物の鳴き声、砂の擦れ合う音などの波動がワインに伝わることで熟成が促進されるということが理由のようですが、確かなことはまだ解明されていません。
でも、なんだかワクワクしませんか?
土の状態、気候、温度差など、様々な自然の変化によって、味が変わっていくワイン。そこに海の未知なる力がプラスされたら、それだけでもう、美味しくなるに違いない! と思えてしまいます。だって、地球はその70%が海という『水の星』ですから。
だったら、一度やってみようということで、SAMMARINESEでは昨年11月、南伊豆の中木海岸沖の海底貯蔵庫に、『白騎士 CAVALIERE BIANCO』『CAVALIERE ROSSO 紅騎士』『ROSE SPUMANTE BRUT』『CALDESE DI SAN MARINO』の4種類のワインを沈めてみました。
そして、今年の6月、ボトルに海の衣装をまとったワインが7ヶ月の眠りから覚めて帰還したのです。
そこまでの経緯は、このコラムで以前に書きましたので、こちらを読んでみてください。
海の底から、お帰りなさい!
海底貯蔵庫からの引き上げは、2日間に渡って行われました。
南伊豆の中木海岸は国定公園に面し、船着き場でさえ底まで見えるほど水が透き通っていて、まずは海の美しさに感動! 小高い丘に囲まれた入り江になっているのですが、海底貯蔵庫はそこから沖に少し出た場所の水深15メートルの海底にあります。
1日目は海底貯蔵庫からケージを外して浮きで引き上げ、船に括って入り江の中に移動。2日目に船着き場までやはり船で引っ張り、そこから、待機していたクレーンで地上に引き上げます。
ケージはびっしりと海藻に覆われ、積み上げられたボトルの隙間から、海水と一緒に、小さなタコやカニが飛び出して来たり。
今回は、サンマリノワイン以外に、他のワインや日本酒、ブランデーなどのお酒も貯蔵されていました。さて、うちのワインはどこ?
ケージの藻を放水によって洗い落としても、ボトルが石灰藻やフジツボなどに覆われていて、なかなか見えません。
あ! この赤いの『紅騎士』だ!
これ、ロゼじゃない?
このケージは、『白騎士』だよ!
久しぶりに再会する我が子を見つけたみたいで、なんだか嬉しい気分でした。
ケージからボトルを取り出し、汚れを取り除き乾燥させて、1本ずつ検品した後、4種類のワインがSAMMARINESEのラボに戻ってきたのは、7月の始めでした。
お帰りなさい!
試飲会で変化を飲み比べる醍醐味
さて、海底で7ヶ月眠っていたワインは、どのように変わっていたか?
試飲会は7月14日。まずは白ワイン3本を試飲することになりました。
海底ワインを推進している、株式会社コモンセンスの青樹社長や、最初に海底ワインの存在を教えてくれた、お酒関係のライターの柳谷さん、ソムリエを始め、SAMMARINESEの海底ワイン試作に興味をもってくださった方々が集まりました。
「おおお! 凄いね」
まずは、ボトルの見た目に声が上がります。
白やピンク色の石灰も、小さなフジツボなどに覆われたボトルは、どれも個性的。白ワインの『CALDESE DI SAN MARINO』は、フロントラベルのバックラベルも海に溶けてしまい、黒いボトルに海の贈り物をまとっただけ。それがまたドラマチックではありませんか?
『白騎士』のシルバーの箔押しの文字や、『ROSE SPUMANTE BRUT』の金色のラインも、波や砂の影響で、かなり見えなくなっています。でも、石灰藻に埋もれた中から、ラベルデザインの一部を見つけ出す……なんていうのも、なんとなく楽しい。
試飲は、そのままセラーに置かれていたオリジナルのワインと、海から戻った海底ワインとの飲み比べで行われました。
Tasting Report①
『海底ワイン ROSE SPUMANTE BRUT』
「あ、本当に味がはっきり変化してるね!」
初めての海底ワイン体験の方は、みなさん驚いていました。
そして、数あるロゼスプマンテの中でも、色が夕日のように濃く、熟成された美味しさが自慢のこのワインを飲み慣れている我々でさえも、一気に熟成度の増したこの海底ワインには驚きでした。
ソムリエからは、
「ロゼスプマンテは冷やして乾杯に最高だけど、このまま少し温度を上げていけば、魚料理、いや、肉料理にまで合いますよ」
と、お褒めの言葉をいただきました。
Tasting Report②
『海の白騎士 CAVALIERE BIANCO』
コルクを保護していたシーリングワックスを剥がして、静かに抜栓すると、「シュポッ!」と勢いよくコルクが抜けました。さすがに騎士は元気がいい。そして、オリジナルの『白騎士』と飲み比べてみると……なんともドラマチックに変化しているじゃありませんか! これまでに海底ワインを何度も試飲している方も
「ここまで熟成して変化しているのはなかなか無いですよ。これ、大成功ですね!」
と驚いていました。
Tasting Report③
『海底ワイン CALDESE DI SAN MARINO』
ラベルは海に溶けてなくなり、
全身に海からもらった衣装をまとった貴婦人になって戻ってきました。
まず、グラスに注いで比べてみると、海底ワインの方がかなり色が濃い!
海底ワインの中でも、ここまで色が変わるワインは珍しいそうです。さすが海の神秘。
そもそも、サンマリノワインの白の中でも、果実系の熟成した複雑な香りや、コクのある酸味と苦味のバランスなど、その美味しさに定評のあるワインですが、酸味はまろやかになり、余韻も長くなっている……ワンランクアップしたようです。
やはり海には、私達が生活している地上からは考えられない、何か特別な力があるのでしょう。間違いなく言えることは、熟成のスピードが早いこと。そして何よりも、ワインは時空を超えて、美味しくなる可能性をまだまだ持っている、ということではないでしょうか。
高見沢さんも驚きの『白騎士』の変貌ぶり
この試飲会の翌日、THE ALFEEの高見沢俊彦さんにも『海の白騎士』をお渡しして、オリジナルの『白騎士』と飲み比べていただきました。ずっとこの日を楽しみにしていた高見沢さん。数日後に、その感想を送ってくださいました。
「なかなかの変わり様ですね。
注いだ瞬間、スプマンテかと思うほど泡が立ちますが、味はまろやかで豊潤でした。
オリジナルの『白騎士』と飲み比べたのですが、味の差は歴然としていました。
雰囲気は、難破船の財宝のようです」
大変気に入っていただけたようです。
今回の海底ワインは、サンマリノワインの可能性をもっと広げるため、より美味しいワインを皆様にお届けするための、私たちの挑戦です。
海底に沈めてまた引き上げる、という作業は、ダイバー5~6人が2日がかりで行い、途中の管理や輸送など、人件費も含め、コストがかなりかかります。
そのため、オリジナルと比べて価格も高くなり、そのバランスも考えていかなければなりません。
各方面の方々に絶賛された海底ワイン。
今後この海底ワインをもっと大量に生産していくかどうかなど、これからいろいろな方のご意見を伺いながら進めてまいりますが、今回の海底ワインのが在庫がまだございますので、是非飲んでみたい!という方に、本数限定で販売することにいたしました。
『海底ワインROSE SPUMANTE BRUT』 ¥12,000 限定10本 ご購入はこちらから▶▶▶
『海の白騎士 CAVALIERE BIANCO』 ¥12,000 限定18本 ご購入はこちらから▶▶▶
『海底ワインCALDESE DI SAN MARINO』¥14,000 限定18本 ご購入はこちらから▶▶▶
発売開始8月28日12:00から
驚くほど熟成したその味には自信があります。
是非オリジナルのワインと飲み比べてみてください。
なお、『CAVALIERE ROSSO 海の紅騎士』は、9月以降に発売を予定しております。
メルマガでご案内いたしますので、お楽しみに!
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