日本の心を伝えるために
2016年に初めて開催された『サンマリノ・ニッポンまつり』の大成功により、このイベントはサンマリノ共和国の公式イベントとして、国の認可のもと、正式に開催されることになりました。参加者数も昨年を大きく上回る6,500人。今年は神社創建3周年という記念の年なので、東京大神宮、戸越八幡神社から宮司、権宮司、巫女の方々、『里神楽加藤社中』のお神楽などの参加により、『創建3周年記念式典』が本格的に行われました。また、伊勢から日本の民謡の原点である『伊勢音頭』の方々が参加して、庶民の生活に根付いた日本独特の文化を伝えました。
サンマリノ神社創建3 周年記念式典(6月24日)
この1年の間に、ぶどう畑の中のサンマリノ神社の参道には、きれいな石畳が敷かれ、サンマリノらしい佇まいになりました。参加される方々がゆるい坂道を登り、鳥居をくぐって集まる頃には、お神楽の笛や太鼓が響き渡るという本格的な式典。お神楽は、笛や太鼓で神様に我々の居場所を教え、踊ることで神をお招きするという意味があります。
式典は、古来から伝わる本格的なもの。まずは宮司が神様に今回の式典の意味を述べる言葉『祝詞(のりと)』を読み上げ、巫女の上に神が舞い降り、参列者の心の平穏と、日本、そしてサンマリノ共和国の平穏を祈るという意味をもった『浦安の舞』を巫女が踊ります。日本でも少なくなった本格的な式典に、参列された方々も、青空の下で気持も新たに手を合わせます。サンマリノ在住のバイオリニスト、矢谷明子さんの奉納演奏の後、神社近くにあるバンケットで、レセプションビュッフェも開かれました。
サンマリノ・歓迎式典(6月24日)
神社から街の中心部にある『リベルタ広場』に移動すると、サンマリノによる歓迎式典が始まります。昨年に続いて、サンマリノに中世から伝わる太鼓のパフォーマンスが勇壮に行われ、それに応えて、今年は伊勢から参加された『伊勢音頭』の皆さんの、民謡という日本に古くから伝わる庶民文化の原点とされる踊りを披露。この日のサンマリノは、気温が40℃近い猛暑でしたが、焼けた石畳の上に敷かれたサンマリノ・ブルーの毛氈と、真っ白な浴衣と笑顔が、暑さを跳ね返していました。また、ティターノ・シアターでは、カスミ・バルークさんの、オーケストラと共演したピアノコンサートも開催され、日本とヨーロッパの文化が豊かに響き合いました。
両国公式晩餐会・提灯行列(6月24日)
標高700mから見下ろす眺望と、素晴らしい夕景と、心地よい風が堪能できるガラディナーは、『サンマリノ・ニッポンまつり』のメインイベントです。昨年の110席から、今年は150席がリベルタ広場を埋め、サンマリノではディナー・チケットが早々に完売となってしまったとか。会場であるレストラン『Righi』のサルティーニシェフと、日本のシェフたちによるコラボメニューは、バラの花びらや抹茶を使用し、裏巻き寿司も登場する華やかなものでした。
今年は、日本のお座敷芸という文化を伝えるために、お神楽と一緒に、幕末の時代に西郷隆盛や高杉晋作、伊藤博文などが贔屓にしたことで有名な横浜の老舗割烹『田中屋』から、芸者の富久丸さんが参加して、三味線や地唄舞を披露。浮世絵の世界が蘇りました。
サンマリノの皆さんがディナーと共に楽しみにしているのが、世界遺産である旧市街地を練り歩く提灯行列。今回も、伊勢商工会議所、伊勢市、伊勢サンマリノ文化交流会からの提灯200個ご協賛により、賑やかに行われました。
JAPAN STAND〜食の文化交流(6月25日)
サンマリノに於ける和食文化への関心は高く、昨年以来、広場のテントを楽しみにしている方々がたくさんいるそうです。今年は、お茶やお米に加え、焼きそばやラーメンといった、日本のお祭りでも人気の高いものを用意したのですが、パスタを使った焼きそばは、大人気でした。照りつける日差しの中、「来年はかき氷もいいね!」という言葉も飛び出し、『サンマリノ・ニッポンまつり』が既にこの場所に根付いていることを実感しました。
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